[DeFimans Mondays]は、月曜(不定期)夜20時より、web3コンサル会社DeFimansの業務の裏側やトレンド話、パートナーをゲストに加えて「web3あれやこれ」をお伝えすべく開催された、X Spaceのトークセッションです。

12月18日(月)に開催された第7回目では、「2023年ラストセッション!今年のweb3トレンドを振り返ろう」というテーマで、弊社共同代表の小野暢思と、シニアリサーチャーの北野・アソシエイトの山田でトークセッションを行いました。

リアルタイムでは参加できなかった方は、上のポストからアーカイブを聴くことができますので、ぜひ聞いてみて下さい!

※今回のセッションのnoteまとめはPart1、Part2と分けて公開させていただきます。

Part1をまだご覧になられていない方は是非下のURLからどうぞ!

2023年ラストセッション!今年のweb3トレンドを振り返ろう Part1

2024年はAIと暗号資産が鍵になる?

小野:アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が公表している、「暗号資産業界で期待すること」みたいなレポート、山田さん北野さんはもう目を通されましたか?

山田:私は読みました!a16zが2024年にクリプト業界に期待している9つのことについて、それぞれ別の方が執筆されていて、非常に面白いので是非皆様も目を通していただければと思います。

https://a16zcrypto.com/posts/article/a-few-of-the-things-were-excited-about-in-crypto-2024/

小野:Arianna Simpson氏は「Play to Earn」は「Play and Earn」になる、と言っていますね。これは私が2019年から言っていたことなので、こうした流れが来ていて嬉しいです。

山田:彼女が何を言いたかったかと言うと、直訳にはなってしまいますが「ゲームのプレイヤーはゲームが自分の職場であることを望んでおらず、ゲームを職場としてではなく、あくまで、遊びに来ている」のであって、Play to EarnのようにEarnが目的化しないweb3ゲームの必要性を訴求しているんですね。

小野:そうですね。私は以前DEAという会社で働いていましたが、この点については散々、2019年頃から議論していて、「そもそもPlay to Earnのtoっていう不定詞は何の不定詞なのか」という点について話し合いました。to不定詞ってあるじゃないですか。何々するためにっていう意味もあって、これが「稼ぐために」という目的格としてのtoだったら良くないよね、と当時から話していました。

Ariannaもそれについて改めて言ってるということですね。a16zのレポートは、英語の勉強にもなりますね。

僕の好きなCarra Wuもいました!たしかハーバード大学在籍中にa16zにインターン生として来ていて、そのままハーバード大学を中退して、23歳でa16zのパートナーにのし上がった人なんですよね。

彼女はAIとクリプトについて書いていました。

山田:AIとクリプトは私が今もっとも注目している領域になります。

Carra Wuさんがどんなことを、仰っているかって言いますと、ChatGPTをはじめとする生成系AIがこれから、ゲームのプラットフォームからゲーム内の武器など、構成する全てを作る時代になると予想しているんですね。

ゲームでは公平性が重視されるので、そのような時代が来た際に「AIが果たして、本当に全てのプレイヤーに対して公平にゲームを作ったか」を確証する方法が求められると。その時に、効果を発揮するのが、このクリプトという、誰にでも閲覧可能で、且つ第三者・どんな方にも検証可能なシステムをAIに導入することによって、AIのインセンティブ設計が可能になるのではないか、ということを仰っています。

小野:なるほど、コンセプションですね!イメージがつきました。

山田:自分もとても納得していて、AIを中央集権的に管理するのではなく、 AIをweb3の概念に適応させて、AIによって生じるリスクを分散型管理して、誰もが検閲・貢献することができる、ある意味DAO的なムーブメントが起こってくるんではないかなと予想していました。これが本当に2024年のトレンドになったら、個人的には非常に熱い展開ですね!

出資の多様化と資金流入を予想

山田:北野さんはAIとブロックチェーンの繋がりやVCの本質的な非分散性について、どのようにお考えでしょうか?

北野:2023年は結構、分散型のエコシステムを上手く使うノウハウみたいなものがVC側に溜まっていった年だと思います。 その意味で今年(2023年)は、VC側からの理解が進んだと思いますよね。 

トークンプロジェクトに出資する事例も増えているだけではなく、出資形態も株式も(トークンと)一緒に買うような、ガバナンスを効かせながら、トークンも上場させて、価格を上げながら回収していくような、一周回ったノウハウがVCに蓄積されていると思います。

(web3に)否定的だった人たちも、ある程度「株式上場させるよりかは、先にトークン発行させた方がいいのではないか」「トークンを発行させても必ず上場できる訳ではない」「株式だけなら上場できるのではないか」みたいな、模索事例が来年(2024年)は広がっていくのではないかと予想しています。 これは結構いい流れだと思います。資金をドカンと出していけるのはVCのような組織だと思うので、必要な流れだと思います。

山田:なるほど!北野さんのご意見としてはVCがweb3業界に投じる、資金だったり投下するリソースが多くなると予想しているということですね。

WorldCoinもそうですが、AIとブロックチェーンが掛け合わせることによって、何が可能になるか、という点についてはどう思いますか?

北野:期待しているユースケースとしてはGameFiに関連した点で、報酬・リワードの設計は今までどうしてもエリアで決めてるような所が多かったと思います。その点で、ゲームのユーザーのKPIなどを全部見た上で、インセンティブ設計の調整ができるところに上手く使えるような特化したAIみたいなものが出てくると、GameFiなどのトークンももっとサステナブルになっていくのではないかと思っています。

 また別の角度としては、分散型のコンピューティングですね。CPUのリソースを提供して、対価としてトークンをもらうことは、サービスとして確立してきたかなと思いますが、これからの時代のAMM系だと、やはりCPUリソースを提供してお金が貰える、ある種Proof of Work的なところのムーブメントが来ると思っています。僕は2017年から2020年くらいまではProof of Workdの方にドハマりしていた人間なので、そういう意味でも個人的には凄く期待しています。

オンチェーンとオフチェーン両刀ビジネスが主流に

山田:ここからは我々DeFimansとして独自の、web3における2024年の業界動向の予想を行っていきたいと思います。web3の世界において何が・どんなことがトレンドになると思うか、小野さん いかがでしょうか?

小野:凄くローカルな話からします。日本でweb3商売がどういう風になっていくかについて、現状、web3と言っても、オンチェーンの人とオフチェーンの人の2種類の人種が存在しています。それぞれ話が合わないんですよね、要はオンチェーンの人にはオフチェーンの話しても、会話が噛み合わず、オフチェーンの人にはオンチェーンの話しても会話が噛み合わないのですよ。そしてこれら全てをweb3と言っているので、バグとか事故が起きている現状です。

オンチェーンの人というのはDeFiなどのオンチェーン上で活動しているweb3の人たちのことですね。

オフチェーンの人は、ブロックチェーンゲームのようなサービスの一部にトークンやNFTを用いている事業者や、ベンダーや我々の様なコンサルティングファームをしている人達です。

今年の京都IVSでは「オンチェーンVSオフチェーンのビジネスはどちらがいいの?」のようなディベートが凄く盛り上がっていましたが、私は来年(2024年)以降は両方をやる流れが来ると思っています。スターテイル・ラボってあるじゃないですか、Astarの渡辺創太さんが作った所です。Astarはオンチェーンビジネスで、スターテイル・ラボはコンサルや開発の会社なのでオフチェーンビジネスですよね。HashPortもパレットチェーンやPLTトークンはオンチェーンビジネスで、HashPort自体はオフチェーンのビジネスじゃないですか。このようにオンチェーン・オフチェーンの両方やるビジネスが増えてくると考えています。

パブリックチェーンとの接続に期待

山田:北野さんは日本国内の2024年のweb3業界の動向について、どのようにお考えでしょうか?

北野:そうですね、国内に関して言えば、私はオンチェーン・オフチェーンで言うところのオンチェーン側に注目したいと思っています。セキュリティトークンとかもそうですよね。実際Progmatなどで、規制が整った中で発行される事例もたくさん出てきて、そのような類のセキュリティトークンが上手くオンチェーン上でパブリックに流通していくのではないかと期待しています。

Progmatにはかなり注目して追っているのですが、あそこは最初からパブリックチェーンへのブリッジなども整えた上で設計を進めているのでそれが実用化されたら、一気にイーサリアムなどのパブリックチェーン側に流れ込んで来ることが出来るので、それをいかに組み込めるかというところが1つのトレンドになるかなと思いますね。

もう1つは、既存のウェブゲームと言いますか、普通の(Web2系の)ソーシャルゲームなどもトークンやNFTを発行して、上手くweb3界隈に踏み込んで来るようなトレンドが起こるのではないかと思っています。TradiFiとカジュアル寄りの両面からのアプローチが起こるようなことに期待しています。

グローバルにはモジュラーチェーンとAIが発展か

山田:なるほど、ありがとうございます!それではお二人からローカルのトレンドについてのお話をお聞きしたので、次にグローバル側のトレンドにお伺い出来ればと思います。北野さん、いかがでしょうか?

北野:グローバルでも、私はDeFiに注目しています。モジュラーチェーンの中に色んなエコシステムがどんどん発達していくことは絶対にある未来だと思っていて、特に注目してるのはL2に置いてあるトークンにイールドが付いた形で色んなDeFiが使えたりDappsが使えたりしますよっていうのも既存でも大きなところが2つありますが、他にも同じような仕組みでやってくるところがあると思っていて、そこのエコシステムの発展はグローバルに進んでいくと思います。

山田:ありがとうございます。小野さんは何かございますか?

小野:先ほどのa16zのレポートの丸パクリみたいになってしまいますが、AIとブロックチェーンの組み合わせは来年非常に注目されると思います。

なぜ僕がAIのことを考え始めたかというと、自分の会社の業務効率化でAIが使えないかなって結構考えていたんですね。最近は経営者の会とかにも呼ばれることが多くなってきて、AIを扱っている企業の方と話す機会も増えてきました。そういった場で色んな人たちとディスカッションして、どのようにすれば具体的に今目の前にある業務が楽になるんだろうって考えたのですが、

弊社はトークノミクスの設計とかもするじゃないですか。マクロ経済を用いたり、インフレ率がどうのこうのとか、オンチェーンの流動性が云々かんぬんで、みたいな議論をしたり、過去のプロジェクトのホワイトペーパーを引っ張り出して、新しいトークン経済を設計するのですが、あれを全部AIでできないかなって思ったことがありました。それら全てをAIにインプットさせて、AIがシュミュレートしてくれれば良いよねって思いました。DeFimans AIみたいなものが、条件をパって入力すると、ピュッっとトークノミクスのシミュレーション結果を出してくれるようなイメージです。

先ほど北野さんもPlay to EarnやGameFiのトークン排出ロジックにAIを使ったらフェアになるじゃないかと言っていましたが、 別にGameFiだけではなくて、全てのDEXやチェーンのエコシステムのトークン設計にAIを絡めることで、よりサステナブルなトークンアロケーションやベスティングスケジュールを組めるようになったら、と考えていました。

web3が意識されなくなり、マスアダプションへ

山田:最後に私から、2024年にクリプト業界でどのような動向があるかについてお話させていただきます。先ほどの申し上げたアンドリーセン・ホロウィッツのホワイトペーパーにもあった通りweb3サービスのUI・UXが圧倒的に向上するだろうということがありまして、それに伴って、これまでクリプトを触ってなかった新規のユーザーが、かなりの数クリプトに流れ込むのではないかと思っています。

2024年を超えてしまうものかもしれませんが、2点理由がありまして、1点目としてはビットコインが今年(2023年)も本当にずっと上がり続けた年であって、これまでクリプトに懐疑的だった人たちも「クリプトって、落ちはするけど、生き延びる、信用してもいいアセットなんだな」という印象が強くなっていることですね。2点目としてはウォレットのUX向上です。例えば現状はウォレットを管理するのが(初心者にとっては)難しいと思いますが、スマートフォンのアカウントであったり、非常に簡易化されたそのパスキーを導入するようなweb3のサービスなどもどんどん増えていまして、これに伴って新規ユーザーがクリプトに参入してくるような1年になるのではないかと期待しています。

小野:2024年とは言わず、ここ3年や5年以内に、 もう別にわざわざクリプトとかトークンとかブロックチェーンとかNFTといったキーワードを言わない世界になるといいなって思っています。 

例えば、今インターネットを使っていて、「これはhttpが使われてるんですよ」とか言わないじゃないですか。別に「これはIPFSの技術が後ろにあって~」とか言わないですよね、みたいな話です。CDとかDVDとかブルーレイディスクとか買うときに「これはブルーレイっていう技術で~」とか言わないじゃないですか。当たり前のように裏側にその技術が使われてます、以上。というのが、一般的に浸透した状態だと私は考えています。わざわざNFTが使われていて、とか言ってる時点で、まだ全然マスアダプションはしていないと思います。

ユーザーからしたらどうでもいいことなんですね、本来は。単純に凄く便利で使いやすくて、気づいたら裏側にブロックチェーンがあったね、みたいな状態に数年以内になってほしいなっていう気持ちはありますね。

山田:そうなると中の人にとっては中々熱い世界線になりますね。北野さん、いかがでしょうか?

北野:リサーチャーとして新しい事例を常に追い続けている中で、日本はもう結構トークンプロジェクトが活発化してくる段階にいると思うので、タイムマシン的に(海外の事例を)輸入してきて、すぐに取り入れて、国内の形に落とし込めるような操作を進めていきたいなと思っています。

山田:ありがとうございます!web3は今小野さん北野さんが仰っていただいたようにマスアダプションが非常に進んで、AI業界でも技術的にも大きく発展が見込まれて、2024年ものすごくエキサイティングな年になりそうですね。非常に楽しみです!

お越しいただいた皆様、ありがとうございました!2024年もよろしくお願いいたします!


いかがでしたでしょうか?

最後までご覧いただきありがとうございました!

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