サマリー

弊社チーフリサーチャーの北野博紀は、2024年7月度Web3BB1日目の「DeFiプロトコルの進化と新たな金融サービス」パネルに登壇し、リサーチャーとして普段から様々なプロダクトを見ている観点から対談いたしました。

パネルには、web3業界のDeFiに精通プロフェッショナルが集結し、ディスカッションテーマであるDeFiや金融サービスに対し、数年前と比較した現在のトレンドや今後予想される課題感についてお話されました。当日は、SBI VCトレード株式会社の西山 祥史も急遽登壇メンバーとなり、DeFi・CeFiの観点から議論が展開されました。

登壇者一覧(敬称略)

・Henry Wu(Orderly Network:Head Asia Business Development)
・Koba Take(ブロックチェーンゲームやDeFiなどの分野のWeb3企画屋さん)
・西山 祥史(SBIHD デジタルスペース室 副室長)
・北野 博紀(株式会社DeFimans:Chief Researcher)

セッション内容(一部抜粋)

〇現在のDeFiについて考えること

北野:私は2020年のDeFiサマーの時からずっとDeFiを触り続けて来ました。当時はスポット・現物DEXが乱立していたように思います。しかしここ1、2年はもう完全にパープレックス(Perpetual DEX)サマーという感じで、Pancake、Sushiみたいな〇〇スワップが乱立していた時のように、どのチェーンでもデリバティブのDEXが溢れていますね。さらにそれぞれがポイント制度やっているので、「とりあえず触っておかないと損してしまう」という気持ちが煽られます笑

リサーチャーとして色々触れても、結局流動性が大事なのでDEXに関しては現在分散し過ぎている感じがしています。今後は少数のDEXへと集約していくみたいな動きがあるのではないかと考えていいます。

〇AIとブロックチェーンのシナジーとは。

Koba Take:DeFiからは少し離れた内容になりますが、 スペクトラルのような仕組みがどんどん出来てきていることが面白いと思っています。これはGoogleやSAMSUNGで実施されるプロジェクトです。簡単に言うとChatGPTのブロックチェーン特化版みたいなサービスで、 ChatGPTに文字書き込むぐらいの感覚で、ブロックチェーンやスマートコンラクトのアプリを作ったり、色んなことを調べたりできるというプロジェクトです。 最近出したものだと、ミームコインを簡単に作れるというものがあり、DEXへの上場であったり、ウェブサイトの作成までも文字で書くだけで完成する仕組みがあります。

(中略)

自然言語でスマートフォンアプリを簡単に作れる世界観の中で、さらに色んなアプリケーションがより発達していくことが予想されます。そこで個人的に注目しているのが、GPUリソースです。サプライチェーンの問題があるなど、GPUリソースは有限なものであるので、ブロックチェーン的なアプローチとしてはリソースがある人がリソースがない人に渡していくことができるのではないか、というプロジェクトが生まれてきています。

〇AI活用におけるブロックチェーンの強み

北野:AI × DeFiと、インターフェース革命というトピックでお話できればと思いますが、ヘンリーさんいかがでしょうか?

ヘンリー:既存金融のサービスで既にAIは導入されていて、ユーザーの資産運用などには活用されていると思いますが、DeFi・ブロックチェーンともAIは相性がすごくマッチングしていると思います。

ブロックチェーンにおいてはデータが全てパーミッションレスで、且つリアルタイムで誰もがアクセス出来るので、その分析をAIに任せることによって、より最適なポートフォリオ管理ができるのではないかと考えています。

〇日本におけるDeFiの普及

西山:私の展望では、現在のKYCされてないユーザーが使うDeFiは無くなると思っています。やはり北朝鮮やロシア・ハマスの危ないお金が入っていることが指摘されて、KYCを通貨したユーザーしか入れなくなる世界線が来ると考えています。

日本では基本的にCeFiしか認められていないと思いますが、そこにDeFiが入り込む余地があるとすれば、携帯電話などの購入をする際に、マイナンバーカードや免許証などで顔認証含め確実にKYCがなされて、その携帯電話を用いて直で(DeFiに)人が入っていく形でマスアダプションしていくのではないかと思っています。

〇ユーザーインターフェースと新たなDeFiの形とは。

北野:私はインターフェース革命がこれからの金融サービスの展望という観点では重要になっていくと思っています。従来はWebやPCベースで、ブラウザからウォレットを触る流れが基本的で、スマホから見たら「PCから開いて下さい」のようなことが表示されるのが一般的なDeFiでした。

それが現在は様々なチェーンのDeFiがTelegramでの出張所を作っているような様相です。アルゴリズムトレーディングなどTelegramのミニAppにあり、これがまた爆発的に普及してきていて、拡散しやすいという点からも、新たな形でのDeFiサマーのような雰囲気を感じています。

〇AI×DeFiの活用と危険性はあるのか。

西山:個人的にAI×DeFiは少し危険だと思っていて、私もトレードにAIを使いますが、AIには同じ方向性を向いていたり未知のものに対応しづらいという問題があります。例えば今の株式市場でAIが投資すれば恐らく9割方のAIがオルカンを買うのだろうと思います。確かにオルカンは良い商品ですが、世界中がそれに向かってしまったら大変なことなので、あくまでAIは補助装置として使ってほしいと思っています。

ーーーーーーーーー

今回のセッションでは、過去の隆盛期を振り返り、DeFiとAIのシナジーやその見通しについてディスカッションをしました。

ブロックチェーンやトークン、DeFiに関するお悩みある方はぜひDeFimansへご相談下さい。また、web3セミナーの講師依頼など随時対応しております、グローバルにDeFiを分析し、迅速にビジネス戦略へ応用するエンジニアのweb3リサーチャー北野の知見も共有させていただけます。お気軽にご相談ください。