web3やブロックチェーンの技術が活用されたサービスが持続可能であるためには、そのトークノミクスにおけるトレジャリーが適切に管理される必要があります。トレジャリーを適切に運用・分配するには必要となる要素を理解し、それらをプロダクトごとに織り交ぜなければなりません。

本記事では、web3ゲームにおけるトレジャリーの争点や現在のトレンドについて下記に述べていきます。ぜひ最後までご覧ください。

web3ゲームのトレジャリーとは?

web3ゲームのトレジャリーと表現をすると難しく感じられるかもしれませんが、「財産を正しく資産運用してユーザーに分配すること」と簡単に言い換えることも出来ます。それを業界の用語を用いて説明すると、Treasury(トレジャリー)とは、トークン発行体やDAOなどが保有しているトークンなどの暗号資産をプールしておく場所を指します。手数料や没収された資金等を貯めておくことにも活用されます。トークン発行体はこのプールされた資産を運営や投資、資金調達などに利用します。保険や金融、政府の財政政策では「トレジャリー(中央金庫)の運用と分配」はいつの時代も常に主要な争点です。

web3が既存金融と異なる点は、透明性・コントリビュータへの分配・方針決定・リスク管理、更にはレバレッジなどが挙げられます。それがオープンソースのオンチェーンで多様な選択肢を提示しているのです。これらはゲームに限らずLayer1/Layer2のチェーンのエコシステムやDAO全般の運営の争点でもあります。エコシステムの参加者にどうトークンで報酬を出していくのかを考える際、トレジャリーの運用戦略無しでは報酬設計も難しいのはこれが理由です。

トレジャリーを考える上で必要な要素

web3ゲームにおいて、「コミュニティの盛り上がり」や「ゲームの面白さ」は当然の要素(自明の理)として扱われます。これはリソースは有限であり、アジェンダには当然「優先順位」があるからです。トレジャリーを考えていく上で詳細にイシューを切り分けると、以下4点が主要な論点になります。

1: トレジャリー(中央金庫)の運用とユーザーへの分配メカニズムをどう設定するか

2: マクロ経済指標の導入(トークン発行体を中央銀行に見立てた国家としての通貨発行・運営モデルを参考に設計をどうサービス内の計測可能なKPIに落としていくか)

3: 上記2の「マクロ経済指標」の延長線として、閉鎖経済ではなく開放経済前提のトークノミクス設計(ゲームの

中だけのトークンの動きだけではなく、外に持ち出されて換金されること・新規で人が外からサービスに流入してくることなどを前提とした設計)をどこまで行えるか

4:トークンのオンチェーンでの流動性をどう広げていくか

上記4つの論点が最近のトークノミクスのトレンドになります。「ゲームを面白くすべき」という議論はトートロジーです。また、「コミュニティを盛り上げるべき」はweb3固有の論点ではなく、既存の全てのコンテンツ(エンタメに限らず、株式の取引などの金融関係も含む)に当てはまることであり、メインの争点として扱われていません。こちらも勿論とても大事な要素ですが、自明のこととして粛々と遂行することが求められます。

web3ゲームのトレジャリーの展望

直近では特に、トレジャリー運用・分配のメカニズムのMethod(具体的なオペレーションについて)が主要争点として扱われるようになっています。

web3のゲーム・プロダクトにおいて、トレジャリーを運用して増やした資産をユーザーに分配する形であれば、ポンジスキームにはなりません。

しかし国内の多くのケースでは「X to Earnはポンジスキームか否か」について議論され、その解決策としてトレジャリーの運用という観点が出て来ず、「広告による外貨の獲得」や「コミュニティの盛り上がりによるトークン価格の上昇」が一時的な答えのように扱われています。外貨の獲得とコミュニティの盛り上げは既存のweb2のゲームと同様であり、グローバルなトレンドとしては、トレジャリーの運用戦略は当たり前のこととして、ユーザーへの分配メカニズムのMethodに議論のフォーカスが当てられています。

具体的には分配方法をダッチオークション形式にするのか、特定のトークンホルダーを還元対象にするのか、トレジャリーのうち何%をユーザーに還元するのか、などについて議論する必要があるのです。

【まとめ】トレジャリー運用の重要性

トレジャリーの運用をせず流動性も作らなければ、自社収益をユーザーに還元するのみとなり、web3ゲームはweb2ゲームに比べて運営目線で収益性が大幅に下がる結果になります。トレジャリーを運用せずに、そのままトークンとして置いてしまうと、単に売り圧に対してトークンで調達した資金をバイバックするだけとなり、資本効率が落ちてしまいます。トークンは開発資金の前借のためだけのツールではありません。

DeFimansの公式サイトでは、海外のファンドによって書かれたトレジャリーに関する記事を日本語に翻訳するなどして、今後も順次有益な理論や情報を発信していきます。

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DeFimansでは、トークノミクスに関するご依頼も承っておりますので、是非ご気軽にご相談下さい。