DeFimans注目ポイント:「ステーブルコイン」の上場廃止

Tether の上場廃止のニュースは、同社が「歴史的な一歩」として新たな最高財務責任者(CFO)を任命し、全面的な財務監査に向けた動きを進める中で報じられた。

世界最大の中央集権型仮想通貨取引所であるBinanceは、欧州経済領域(EEA)において、MiCA(暗号資産市場規制)に準拠していない、9つのステーブルコインの上場を廃止する。これにはTetherの発行するステーブルコインも含まれる。

Binanceの発表によると、3月31日から影響を受ける暗号資産は、USDT(Tether )、FDUSD、TUSD、USDP、DAI、AEUR、UST、USTC、PAXGの9つ。Binanceは引き続き、これらのコインの入出金を許可するが、EEAユーザーにはMiCA非準拠のステーブルコインを変換するよう推奨しており、一部機能の制限がかかる見込みだ。

ステーブルコイン

ステーブルコインは、法定通貨(例:米ドル)や金・銀などの資産の価格に連動することを目的とした仮想通貨で、多くの場合、対応する資産を準備金として保有することで価値を維持している。

MiCA(Markets in Crypto Assets)は、2023年に施行されたEUの暗号資産規制であり、EEA内のユーザー向けにデジタル資産の規制を明確化することを目的としている。EEAには、EUの27加盟国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが含まれる。

コンプライアンス企業AMLBotの弁護士Niko Demchuk氏はDecryptに対し、「2025年以降、MiCAライセンスを取得した発行者のみがEEA居住者向けにステーブルコインを発行できる」と説明した。すでにライセンスを取得している企業もあり、例えば、CircleはEURCおよびUSDCの発行が認可されている。

このため、BinanceがUSDC(時価総額2位のステーブルコイン)を上場廃止の対象から外した理由も説明できる。また、他の中央集権型取引所でもMiCA非準拠のステーブルコインを上場廃止しており、Coinbase Europeは昨年12月にTether の発行するステーブルコインの上場を廃止している。

Demchuk氏は、「発行者はEEA内に会社を設立し、MiCAの要件を満たした上でライセンスを取得する必要がある。必要事項はすべてMiCAに明記されており、比較的明確なプロセスだ」と述べている。

Tether は、MiCAへの対応についてDecryptからのコメント要請に即時には応じなかった。

Tether 、新CFOを任命 

この発表と同じ日に、Tether は新たなCFO(最高財務責任者)としてSimon McWilliams氏を任命した。同社はこれを「初の全面的な財務監査に向けた歴史的な一歩」と位置付けている。

今年初め、Tether はすべての子会社をエルサルバドルに移転。エルサルバドルは2021年にビットコインを法定通貨とした国であり、Tether は「金融の自由、イノベーション、回復力」というビジョンを共有する国に拠点を移すことが目的だったと述べている。また、同国の「規制環境の優位性」も理由の一つとして挙げた。

Tether は以前から、準備金の透明性に関する問題で規制当局や議員、消費者保護団体からの批判を受けている。

2021年には、ニューヨーク州司法長官(NYAG)との和解の一環として、1850万ドルの罰金を支払い、同州での取引活動を停止。同年、米商品先物取引委員会(CFTC)から「準備金に関する虚偽または誤解を招く発言」があったとして、4100万ドルの罰金を科された。

一方で、Tether 側は四半期ごとの報告書や透明性レポートを通じて準拠を証明していると主張しており、将来的には「ビッグ4」会計事務所(デロイト、PwC、EY、KPMG)による監査を受け入れる可能性を示唆している。

元記事はこちら

https://decrypt.co/308449/binance-to-delist-tether-and-other-stablecoins-for-eea-users-due-to-mica-regulations