昨年、ChatGPTを開発したOpenAI社のCEOサム・アルトマン氏が来日して岸田総理と面会し、話題を呼びました。AI革命の先鋒に立つ人物として全世界から注目を浴びていますが、彼が大規模な暗号資産プロジェクトの立ち上げに関わっていることをご存知でしょうか?

その名も「ワールドコイン」。ワールドコインの実現を可能にしている技術、そしてアルトマン氏を筆頭とする開発チームが見据えている将来像について解説していきます!

ワールドコインとは?

OpenAI社のCEOサム・アルトマン氏がアレックス・ブラニア氏と共同で創立した暗号資産プロジェクトです。2022年3月にはAndreessen Horowitz(a16z)やCoinbase Venturesなど著名VCから合計約130億円を調達し、昨年5月にはBlockchain Capitalが主導するシリーズCラウンドで約150億円を追加で調達しています。サービスは昨年公式ローンチを迎え、現時点(2024年4月)で全世界に450万人以上の登録者を誇る一大プロジェクトです。

ワールドコインは、特定のユーザーが自身の唯一無二を証明するだけで取得することができる世界初のトークンと定義づけられています。

生体認証の仕組み

本人登録方法は非常に独特で、眼球の虹彩を「Orb」と呼ばれる独自のマシンでスキャンすることによって、正式な登録が完了となります。

Orbによってユーザーが実在する固有の人間であること、以前ワールドコインに登録したことがないかどうかが確認されます。同じ虹彩パターンは2人とおらず偽造が非常に困難であるため、高い精度での本人確認が可能となります。Orbによるスキャンを完了し、認証を受けたユーザーは、ワールドコインを無料で受け取ることができます。この仕組みが、ワールドコインが「特定のユーザーが自身の唯一無二性を証明するだけで取得できる、世界初のトークン」たる所以です。

ワールドコインの開発意図

ワールドコインの開発意図は、大きく分けて2つあります。

1つ目は、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の実現です。アルトマン氏は、今後AIなどの新興テクノロジーによって生じる労働市場の変革に対する緩衝材として、UBI(ユニバーサル・ベーシック・インカム)が人々の生活支援のために必要だという考え方を示しています。公平に一個人ずつにUBIを配布するには、偽造不可能な識別子=虹彩が必要です。

2つ目は、分散型IDプロトコル「World ID」の提供です。World IDは、ユーザーが個人情報を明かすことなく、自身が唯一無二の人間であることを証明できるデジタル・パスポートのような役割を果たします。これにより、オンライン上でのボット対策やAIによるデジタル空間上での人間なりすまし防止、情報の正確性向上などに貢献することが期待されています。

ワールドコインのもらい方

登録時のグラントおよび定期配布のワールドコインを受け取りたい場合、ワールドコインOrbにて虹彩のスキャンを完了させる必要があります。Orbは東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡と全国各地に点在しているので、詳しくはお近くの設置場所をご確認ください!

*公式World AppをApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードいただき、アプリ画面右上の設定(歯車マーク)→「Orbを見つける」に推移していただければOrb設置場所を見つけることができます。

登録が完了すれば独自のWorld IDを使い、早速報酬を受け取ることができます。

ワールドコインの根幹をなす技術

分散型ID

ワールドコインの重要な要素の1つが、分散型IDプロトコルである「World ID」です。World IDは、Self-Sovereign Identity(SSI)と呼ばれる概念に基づいています。SSIは、ユーザーが自身のIDを自分で管理し、個人情報をコントロールすべきだとする思想です。従来の中央集権的なIDシステムとは異なり、SSIではユーザーが自分の情報をいつ、どこで、誰に対して何を開示するかの自己決定権を持ちます。


ワールドコイン公式ブログには、ユーザーが自律的に自身のWorld IDを利用・管理し、運営側などの第三者が決してユーザーのプライベート情報・デジタルフットプリントを追えないことを前提とするSSIの思想が反映されています。

「誰でも偽名を用いてWorld AppとWorld IDを使用することができます。ユーザーは登録のために個人情報を提供する必要は一切ありません。メールアドレス、電話番号も、SNSアカウント名、実名も、すべてが任意です。ZKP(ゼロ知識証明)は、ユーザーのプライバシーを保護し、アプリケーション間の追跡を避けるために使用されます。(中略)自分がユニークな人間であることを証明したいとき、自分の個人情報を明かすことなくそれを実現できるべきです。」
引用元:https://worldcoin.org/blog/developers/privacy-deep-dive

ゼロ知識証明

ワールドコインの情報保護をを技術的に可能にしているのが、ZKP(ゼロ知識証明)という情報セキュリティ・暗号技術の分野で用いられる技術です。情報提供者が自分が知っている秘密情報(個人情報)を明かすことなく、その情報が正しいことを証明することができます。web3業界では、ブロックチェーン上に書き込まれるデータ量を減らす目的でzkRollupなどのサービスにすでに応用されています。


World IDは、SSIの思想に基づいてプライバシーを保護しつつ、オンライン上での信頼性の高いユーザー認証を可能にしています。

イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏もワールドコインのプライバシー保護への取り組みを賞賛しています:「(ワールドコインチームは)プライバシーに関する批判を真摯に受け止め、システムの生体情報データへの依存度を減らそうと取り組んでいる。現代の暗号技術は素晴らしい。」
引用元:https://twitter.com/VitalikButerin/status/1773540073239183536

ワールドコインの今後の展望

ワールドコインの公式ウォレットアプリ「World App」が昨年リリースされました。World Appでは、World IDを用いた本人認証により、暗号資産の送受信やトークン交換が可能です。仕組みとしてはほとんど従来のweb3ウォレットと同じですが、秘密鍵ではなくWorld IDが本人認証に用いられるという相違点があります。このため、World Appはメタマスクなどのプライベートウォレット同様に様々なサービス・DAppsに接続可能で、将来的にはあらゆるweb3サービスがWorld IDと連携するハブのように機能するようになると考えられます。


World IDはすでに多くのサービスとの連携を行っており、現在(2024年4月)すでにボット対策を目的としてReddit, Discord, Minecraftなどのサービスに統合されています。

まとめ

ワールドコインは、売買が中心的なユーティリティである暗号資産の枠を超えた、生体認証に基づく分散型IDプロトコルとして注目を集めるプロジェクトです。独自の虹彩認証システム「Orb」を用いたユーザー認証は、高い確度での個人認証とプライバシー保護を両立させています。

また開発チームはユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の実現を長期的に見据えており、AIの発展により変化する労働市場において、ワールドコインのホルダーが定期的に収益を得られる意義は増していくでしょう。

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