一般社団法人日本デジタル空間経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:北尾 吉孝、以下「連盟」)主催の大規模カンファレンスイベント2月27日「Digital Space Conference 2025」にて、株式会社DeFimans 取締役 COO・CFO 坂上 謙太が「ステーブルコインが描くデジタルの未来とユースケース」をテーマに登壇いたしました。

株式会社DeFimans

サマリー

本セッションでは、ステーブルコインについて具体例を交えながら、今後の可能性と課題が議論されました。ステーブルコインは、ブロックチェーン技術を活用した安定した価値を持つ暗号通貨であり、決済の高速化やコスト削減、国際送金市場での利便性向上が期待されています。また、プログラブルマネーとしての応用や新たなビジネス機会を創出する可能性もあります。普及への道のりには技術的・法的課題が残されており、ユーザー体験を重視した設計と実証実験の積み重ねが必要です。

本レポートは、最新動向(2025年2月27日時点)や利点、事業者の新たな事業機会など、5つのテーマに沿ってまとめています。ステーブルコインの可能性と課題を整理し、その未来を展望します。

登壇者情報

(写真左から)

モデレーター 取締役 COO・CFO 坂上 謙太 (株式会社 DeFimans)

スピーカー 代表取締役社長 CEO 松田 一敬 (Digital Platformer 株式会社)

スピーカー 日本地区カントリーマネジャー 榊原 健太 (Circle)

各社事業紹介

  • 株式会社 DeFimans 
    • web3特化のハンズオン型コンサルティングサービスを提供
    • web3実務経験者のプロフェッショナル集団が立ち上げから一気通貫でサポート
    • ステーブルコインを始め、既存産業・業態へのイノベーションの取り込みを支援
  • Digital Platformer 株式会社
    • デジタル地域通貨、分散型ID発行SaaSの開発、提供、導入支援
    • ブロックチェーンを活用した金融プラットフォームのシステム開発
    • ブロックチェーンを活用したデジタル化推進のコンサルティング 等
  • Circle
    • グローバルなフィンテック企業であり、企業や開発者がデジタル通貨とパブリックブロックチェーンの力を活用し、決済、商取引、金融アプリケーションを世界規模で展開できるよう支援
    • 規制対象の関連会社を通じて、USDCおよびEURCを発行する発行体

セッション内容

テーマ1:ステーブルコインの最新動向(国内:預金型 国際:USDC)

テーマ2:ステーブルコインの利点(速度・コスト・カバレッジ)

テーマ3:事業者の決済(プログラブルマネーとしての可能性)

テーマ4:事業の事業機会(国際送金で可能性)

テーマ5:ステーブルコインの課題(決済の普及に向けたPoCが鍵)

セッション内容詳細

テーマ1:ステーブルコインの最新動向(国内:預金型 国際:USDC)

国内では、預金型のステーブルコインが企業間取引で注目。銀行預金を1対1でトークナイズし、預金保険の対象となり、安全性が高く、BtoBビジネスでの可能性が指摘されました。一方、国際的には法規制遵守と透明性が強みの『USDC』が国際決済で活用されています。

松田:USDCの話は榊原さんにしてもらいますが、日本の国内で今言われているステーブルコインは3つの区別があります。1つ目が信託型、2つ目が資金移動型、3つ目が預金型です。

我々のは預金型といって、銀行の預金をそのまま1対1でトークナイズドデポジットという形にしているのが預金型のステーブルコインです。何が良いかというと、預金扱いなので、基本的には預金保険の対象にもなるので、お金がまず消えることがありません。さらに資金移動行型では100%にデポジットを入れること、利用額に100万円の利用制限がつきますが、預金型ではデポジットの必要がなく、かつ利用額に上限がないということで、今後BtoBのビジネスが広がっていく時に大きくなるんじゃないかと言われていま

榊原:弊社では、USDCというステーブルコインを発行しています。USドルと我々の保全資産、準備金は1対1で紐づいている形です。フレクションレスな価値交換、決済のようなユースケースは非常に親和性が高いものとなっています。我々の強みの一つは、USDCが当社の規制対象法人を通じて発行されている点で、ステーブルコインビジネスを始められる企業にとっても非常に重要なポイントだと思います。もう1つが、透明性、オープンなところです。ウェブサイトでも流通額がいくらか、裏側にあるのは何か、クリアに透明性を持って公開しています。価値の国境を越えます。今後日本、海外を繋いでいく形として、ステーブルコインが役に立っていくのではないかと思っています

テーマ2:ステーブルコインの利点(速度・コスト・カバレッジ)

ステーブルコインの利点として、速度・コスト・カバレッジの3点が議論。特に国際送金においては、リアルタイムに送金でき、コストも1/10程度に抑えられ、銀行口座を持たない途上国おもスムーズな取引ができるため、その有用性が指摘されました。

坂上:先ほど松田さん、榊原さんの説明の中で出ていたと思いますが、私は速度、コスト、カバレッジ、大きく3点かなと思っています。この速度のところ、榊原さん、具体的にどういう速度になるでしょうか。

榊原

国際送金、私も前職で関わっていましたが、すごく時間がかかります。アメリカの銀行から日本に送金しようとすると、中継銀行を経由するので、普通の国際送金は2、3日かかってしまいます。それをブロックチェーンのような技術を使うと、ほぼ瞬時にできるようになります。ワーキングキャピタルの効率化というところでも、企業にとっても一般の人にとっても、お金のアクセスがしやすさという意味で意義があると思います。

坂上:ありがとうございます。松田さん、この速さ、もしくは費用、最終的にユーザーさん、事業者さんが負担している手数料などがあると思うんですが、その辺りはいかがでしょうか?

松田:まず速さと同じくらい大事なのが、ファイナリティです。現在の海外送金では自分が送ったお金が、相手に届くかどうかがわかりません。さらに、相手に届いたからといって銀行から届きましたという通知も来ません。受け取った側が言ってくれなかったら、届いていないかもしれないし、お金が消えてなくなってしうこともありますま。これを、国内の円建てのステーブルコインとUSDCのようなものを組み合わせることによって、世界中どこにでも瞬時に、かつ相手にちゃんと届いたことがわかるようになります。手数料的にも大手銀行で10万送ったら1万ぐらい取られると思いますが、その1/10から1/5ぐらいになるんじゃないかと思ってます。

榊原:日本だと皆さん銀行口座をお持ちだと思うんですが、銀行口座を持ってない国、途上国もいっぱいあると思うんです。通常のお金にアクセスする、運んだりするリスクも大変な国もあると思いますが、イノベーションがもたらす価値は日本にいるだけじゃわからないところもあると思います。

松田:実はこれがスムーズにできるようになると、海外から来た人、海外から日本のものを買いたい人が、普通にお金のやりとりができるようになります。決済は地味で日陰みたいに見えるんですが、結構大事で、そこを抜本的に作り変えたいというのがきっかけになるんじゃないかと思います。もう1つ、ステーブルの場合はお金の流れが全部追える。そういったところで、データビジネスをされたい方々にとっては非常に意味が出てくるんじゃないかと思います。

テーマ3:事業者の決済(プログラブルマネーとしての可能性)

プログラマブルマネーの活用が議論されました。これにより、取引の自動化、コスト削減、透明性向上、さらには新たな金融サービスの創出が期待されます。

坂上:事業者の決済のようなところでステーブルコインやブロックチェーンを活用することで改善できるものがあると思います。例えば、実際に納品されたことをトリガーとして実行できる機能を付加することができる、といったことも1つの利点だと思っています。産業よりの用途、BtoBの用途はいかがでしょうか?

松田:本当に実装できるかどうかは、技術的な問題というより、当局との話になってくると思いますが、お金を送るだけじゃなくて、そこに納品書、納品書を受け取ったらスマートコントラクトで自動的に検品が行われ、請求書が送られて、自動的にそこでお金が支払えると良いなと考えています。あとは消し込みサービス、請求書サービスがステーブルコインだと要らなくなるんです。それがいらなくなるというのが変革じゃないかなと思って、早くそこまでいきたいなと思っています。

榊原:仰る通りですね、まさにプログラム、お金自体デジタル化されていてプログラムというところかと思います。条件設定などをお金自体に組み込んで、サービス、物品の完了してからお金がリリースされるところもプログラマブルですし、それ自体に情報を載せることで消し込み作業が消えたとしても、より付加価値の高いサービスが生まれてくると思います。

松田:あとは、トレードファイナンスというところですね。お金の流れと物の流れを常にデータ化して、それについて通貨地点ごとのマイルストーンを見ていくところにプログラムをつけていくと、事業者に金融機関さんが融資できるとか、全く新しいファイナンスのスキームに繋がっていくんじゃないかと考えています。いわゆる物流と金融の一体化と言いますが、そういったところに繋がるんじゃないかと思います。

テーマ4:事業者の事業機会(国際送金で可能性)

事業者における新たな事業機会について議論。

ステーブルコイン自体のネットワーク化と国際取引のリスク軽減による新たな金融ビジネスの可能性が指摘されました。

坂上:事業者視点でいうと新しい事業機会が生まれると思うのですが、どんなところが魅力でしょうか。

松田:USDCが出てきたことで、こんなビジネスが生まれたのがまさに事例だと思いますがいかがでしょうか。

榊原:ありがとうございます。一つはステーブルコイン自体がネットワーク化しているというところだと思います。USDCを持っている企業様同士が密な連携、業務のアップグレードのようなところが進みつつあると思います。もう一つは国際送金に入りやすくなり、お金の流れを使ったビジネスが生まれたというのはあると思います。

松田:国を跨いだり、取引先の信用リスクが高い相手に対して、相手の取引リスクを補う形でステーブルコインが出てくると取引できるようになると思います。日本ではグローバルサウスを進めようとしていますが、現在ではお金の流れがスムーズでないことに加え取引リスクが課題となっていますが、そういったところにも使えると思います。

テーマ5:ステーブルコインの課題(決済の普及に向けたPoCが鍵)

ユーザーがステーブルコインを意識しない決済の国内普及の重要性が指摘されました。普及に向けては、社会的な実証実験を重ね、技術的な課題や利用者の不安を解消することで、暗号資産と法定通貨の垣根をなくしていくことが重要であると指摘されました。

坂上:乗り越えるべき課題、結局ユーザーさんに使ってもらう上で、必ずしも裏側の細かい話は知らなくてよくて、便利だな、すぐに使えるな、それ以上だと思ってます。地方や地方銀行では相対的にユーザーがデジタルネイティブじゃない方もいらっしゃると思うんですが、その辺りの課題はいかがでしょうか。

松田:ユーザーさんに、ステーブルコインを使ってるんだと意識させないで、使い勝手のいい決済の仕組みというのが、まず国内で流通できるようになることが大事だと考えています。課題は、どうやってマーケティング的に広めていくか、そしてマネーロンダリングや取引の安全性をどうやって担保していくか。これらをみんなで解決していくしかないかなと思います。暗号資産と法定通貨の世界の話でいうと、PoCを日立やChainAnalysisto始めています。暗号資産の世界のお金を法定通貨の世界に持ってくる時の本人確認、犯罪防止法などをちゃんとやる、そういった活動がもっと出てくるといいなと思います。

榊原:まさに仰った通りで、PoCをやっていくのが凄く大事だと思います。ブロックチェーンはとっつきにくいところがあると思うんですが、ユースケースがすごく大事だと思います。自分ごととして捉えていただきながら、変革がまさに起きて、暗号資産、そこの壁が無くなって、当たり前にブロックチェーンになっていく変革の時だと思います。皆さんからユースケースを作っていただいて、実証実験して、その先の実行化へ向けて、オープンにいろんな、1人でやろうではなく、いろんなプレイヤーと組んでやっていけるところが、課題であり、次の普及のブレイクスルーのきっかけじゃないかなと思います。

「Digital Space Conference 2025」について

日本デジタル空間経済連盟の設立後、年次開催している本イベント「Digital Space Conference」は今回で 3 回目を迎えます。「Digital Space Conference 2025」(以下、「DSC2025」)では、「過去から学び、明日に活かす、そして次世代を創る」をテーマに、メタバース、生成 AI、ブロックチェーンなどデジタル空間にまつわる技術に関する様々な講演・展示を通じて、参加者の皆さまに新たな「発見」を持ち帰っていただくことを目的としています。

名称: Digital Space Conference 2025

主催: 一般社団法人 日本デジタル空間経済連盟

日時: 2025年2月27 日(木)12:00~18:20(11:00 開場)

会場: 東京都港区赤坂 9 丁目 7-2 東京ミッドタウン・ホール

株式会社DeFimansについて

web3業界で実業経験を積んだメンバーによって設立されたDeFimansは、トークンエコノミクスの構築やブロックチェーン技術の活用等、web3領域に特化したハンズオン型のプロフェッショナルファームです。web3ビジネスでの“信用”を創造し、クライアントと共に日本のweb3業界の発展に向けて歩み続けます。

代表者:代表取締役 小野 暢思・佐藤 太思
所在地:東京都港区虎ノ門5丁目3−1 第一榎ビル 4F
設立:2022年7月
事業内容:
トークノミクス、DeFi、GameFi・ブロックチェーンゲーム、海外展開、事業戦略、新規事業開発、ブロックチェーン社会実装、NFT、dApps、DAO等に係るコンサルティング支援
資金調達・資本政策、マーケティング、翻訳等のハンズオン支援
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