DeFimans注目ポイント:ステーブルコイン市場におけるUSDCの高まり

“CoinbaseのCEO、ブライアン・アームストロング氏は、CircleのUSDCを「ナンバーワン」のドル連動型ステーブルコインにすることを目標に、Tetherの優位性に挑むと発表した。”

(出典)2018年のTechCrunch Disruptイベントに登壇したCoinbaseのCEO、ブライアン・アームストロング, Wikimedia

CoinbaseのCEO、ブライアン・アームストロング氏は木曜日、同社がステーブルコイン市場での戦いに本格的に挑む姿勢を示した。

第4四半期の決算発表で、アームストロング氏はTetherが業界の「支配的なステーブルコイン発行者」である現状に挑戦し、最終的にはCircleのUSDCを世界の「ナンバーワンのドル連動ステーブルコイン」にすることを目指すと語った。

この目標について、アームストロング氏は「ストレッチゴール(達成可能だが困難な目標)」と表現し、Coinbaseが既存の枠組みを超えて取り組む挑戦であると強調した。

現在、USDCは市場で2番目に大きいステーブルコインであり、時価総額は560億ドルに達している(先週、過去最高を記録)。しかし、Tetherを追い抜くにはまだ大きな差がある。現時点でUSDTは市場の60%を占め、時価総額は1,420億ドルに達しており(CoinGecko調査)、USDCとの差は依然として大きい。

ステーブルコインは他の通貨(この場合は米ドル)と1:1の価値を維持するように設計されているため、時価総額は発行量を示す信頼できる指標となる傾向がある。

CoinbaseのCFO、アレシア・ハース氏は、アームストロング氏の大胆な発言について「この目標は数年かけて達成を目指すもの」と説明した。

この高い目標が掲げられた背景には、Coinbaseの予想を上回る第4四半期の好決算(13億ドルの利益)がある。一方で、議員間の長年の論争を経て、米国のステーブルコイン規制が進展する兆しも見られる。

上院銀行委員会の委員長を務めるティム・スコット上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は、「ドナルド・トランプ大統領の任期開始後100日以内にステーブルコイン関連の法案を可決する」と明言している。

その法案は「GENIUS Act」と名付けられ、米ドル担保型ステーブルコインの発行者に対し、合法的な枠組みを提供することを目的としている。Decryptが確認した法案の草案によると、この枠組みには、発行者が自社のプロダクトを支える法定通貨準備金の健全性について、毎月の監査報告を共有することが含まれている。

このステーブルコイン法案は上下両院を通過し、トランプ大統領によって署名されるまでに変更が加えられる可能性があるため、包括的なステーブルコイン規制が最終的にUSDCやUSDT、その他のステーブルコインにどのような影響を与えるのかは不透明なままである。

規制がUSDTに与える影響は?

Coinbaseの決算発表の数時間前、JPモルガンのアナリストは「Tetherは準備金の構成を見直す必要があるかもしれない」と指摘した。

Tetherの最新の証明書(アテステーション)によると、その準備資産は主に現金・現金同等物や短期預金(米国債やマネーマーケットファンドなど)で構成され、全体の82%を占める。

Tetherは過去に準備金に関する証明書を不定期に発表していたが、近年は定期的に公表するようになった。しかし、会計士や競合他社らから、これらの財務報告書はいまだに監査を受けていないことをすぐに指摘された。

監査はリスクやコンプライアンスの問題を特定するために詳細なデータを収集するのに対し、証明書(アテステーション)は既存データの正確性を確認することが目的だ。

実は、USDCの発行元であるCircleも、準備資産の監査を実施していない。Circleは、USDCとユーロ建てのステーブルコインEUROCの「高流動性の法定通貨準備」について証明書を公表しているが、監査は行っていない。JPモルガンは、「Tetherが新しい米国規制に適合するためには、準備金の中のビットコインや商業手形などの非準拠資産を大規模に売却する必要があるかもしれない」と指摘している。

これに対し、Tetherの広報担当者はJPモルガンの主張に反論し、「200億ドル相当の極めて流動性の高い資産が見落とされている」と主張した。また、「政府債を大量に保有することで四半期あたり12億ドル以上の利益を生み出している」とも述べている。

なお、Tetherは最近、本社を英領バージン諸島からエルサルバドルに移転しており、新しい米国のステーブルコイン規制の適用を受けない可能性がある。

「もし米国でステーブルコイン規制が成立すれば、USDCが市場シェアを獲得するうえで、圧倒的に有利になると考えています」と、Bitwiseのシニア投資戦略家であるフアン・レオン氏はDecryptに語った。「しかし、それだけでUSDTを追い越すことができるでしょうか?」

レオン氏は、USDCがUSDTを上回るためには、先進国市場で主要なステーブルコインとして広く使用される必要があると述べた。一方、新興市場においては、USDTの支配的な地位をUSDCが覆す可能性は低いとも指摘している。

元SEC(米証券取引委員会)委員長のゲイリー・ゲンスラー氏は、かつてステーブルコインを「DeFiのポーカーチップ」と呼び、取引における資金管理や利益確定の手段としての役割を指摘していた。ステーブルコインは送金や決済といった実用的な用途もあるが、マネーロンダリングや制裁回避といった懸念も存在する。

「USDC」の加速

ステーブルコインのオンチェーン活動は主にEthereumやSolanaなどのスマートコントラクトをサポートするネットワークに集中している。しかしアームストロング氏は、Ethereumのスケーリングネットワーク「Base」(Coinbaseが開発・運営)でのUSDCの普及拡大が商業パートナーシップの強化とともに鍵になると述べた。

また、「USDCにはネットワーク効果があり、Circleのコンプライアンス重視の姿勢が長期的に優位に働くと考えている」とアームストロング氏は語る。

彼は続けて、「市場拡大を加速させるため、決済などの新たなユースケースを開拓し、パートナーシップを拡大する」と述べた。

Coinbaseの第4四半期のステーブルコイン収益は2億2400万ドルで、前四半期より2000万ドル減少したが、同社の収益全体の9.4%を占めた。

Coinbaseは株主向けの書簡の中で、USDCを「2024年に最も成長の速い主要なステーブルコイン」と表現し、さらに同社が支援したオンチェーンUSDC決済が120億ドルに達したことを強調した。

コインベースは現在、USDCの成長に積極的なアプローチを取っている。しかし2023年の弱気市場では、取引収益の低迷を補う形でステーブルコイン関連の収益がサブスクリプション&サービス部門を支えていた。

実際、2023年の第3四半期には、サブスクリプションおよびサービスの収益が一時的に取引収益を上回り、Coinbaseの主な収益源となった。これらの収益はそれぞれ3億3400万ドルと2億8900万ドルに達した。

同年8月、CircleはCoinbaseが同社の株式を取得したことを発表した。両社は、自社運営のコンソーシアムを棚上げし、より良い連携を図ることで合意した。

CircleとTetherはDecryptのコメント要請に対し、回答していない。

著者:Stacy Elliott

元記事はこちらhttps://decrypt.co/306070/coinbase-targets-tether-86-billion-stretch-goal