DeFimans注目記事ピックアップ:トランプ大統領、GENIUS法に署名-米国初のステーブルコイン政策が誕生

DeFimans注目ポイント:ステーブルコイン動向
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ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスでの式典で、暗号資産関係者が見守る中、ステーブルコイン規制法案に署名し、正式に法制化した。
ワシントンD.C. — トランプ大統領は金曜日、米国における暗号資産規制整備の一環として、ステーブルコイン発行者に関する規制を正式に確立する法案に署名し、デジタル資産業界にとって重要な第一歩を踏み出した。
トランプ氏はホワイトハウス東館での式典において、業界幹部や議員を前に「米国ステーブルコイン国家革新指針法(GENIUS法)」に署名した。同法案は前日に下院で308対122の超党派多数で可決され、上院でもすでに68対30で承認されており、民主党からも広範な支持を得たことを示している。
会場にはCoinbaseのブライアン・アームストロング氏、Tetherのパオロ・アルドイノ氏、Circleのジェレミー・アレール氏、Geminiのウィンクルボス兄弟、Krakenのデイブ・リプリー氏、Chainlinkのセルゲイ・ナザロフ氏など、主要暗号資産企業の幹部が出席した。
冒頭でトランプ氏は、「バイデン政権の頃には皆が何を言っているのか理解もされず、半分は逮捕されていた」と冗談交じりに語った。
また、議会メンバーや閣僚、業界リーダーの名前を挙げ、「あなたたちは長年嘲笑され、無視され、見放されてきた。しかし今この署名こそが、業界の正当性を証明する大きな一歩だ」と称えた。
GENIUS法は今後、連邦の金融・銀行規制当局に送られ、具体的な規制内容の実装が進められる。特にステーブルコインの発行者として適格とされる企業の定義が明確化される予定だ。現在、TetherのUSDTやCircleのUSDCが市場をリードしているが、近年はウォール街の金融機関も参入を進めている。
連邦規制当局による法律の実装には時間がかかることもあるが、GENIUS法の成立により、業界には今後の方向性が示された形だ。これによりロビー活動から制度運用への軸足移行が求められる。
ムーディーズ・レーティングスのデジタル経済部門アソシエイト・マネージング・ディレクターであるラジーブ・バムラ氏は、「この法律は必要なコンプライアンス基準を設けるものであり、ステーブルコインの実効性は、準備金の開示、運営上の安全策、ガバナンスの健全性、発行者と消費者の利害一致の仕組みにかかっている」と述べた。
2022年にFTXなどの大手企業が破綻し、FTX元CEOサム・バンクマン=フリード氏が議会との関係性を持っていたにもかかわらず逮捕されたことにより、業界は厳しい目にさらされてきた。しかし、業界PAC「Fairshake」によるロビー活動と選挙資金の大規模投入により、ホワイトハウスと議会における業界の地位は大きく改善された。
トランプ氏は自らを「暗号資産の大統領」と位置づけており、政権としても業界の「黄金時代」の到来を掲げている。今後はステーブルコイン以外の暗号資産、取引所、プロジェクトの適切な監督制度を構築する新たな立法が次なる焦点となる。
ホワイトハウスで暗号資産とAI政策を担当するデービッド・サックス氏は壇上で、トランプ氏と本法案を称賛し、「これはシリコンバレー基準でも驚くべきスピードで成立した」と語った。
サックス氏はさらに、「このGENIUS法により、米国が暗号産業で世界をリードするための明確なルールが整備される。旧来の決済インフラは刷新され、米ドルのデジタル展開によって世界的なドル支配力が拡大するだろう。各ウォレットに1ドルのデジタル通貨があれば、銀行には1ドルの実通貨が存在し、それが米国債需要を何兆ドルも押し上げることになる」と述べた。
また、同日に下院を294対134で通過した「デジタル資産市場明確化法(Clarity Act)」は、今後の市場構造法案に向けた弾みとなり、上院へのメッセージとなった。
下院金融サービス委員会の委員長フレンチ・ヒル議員は記者会見で、「上院は我々の法案を取り上げ、必要な修正を加えた上で可決すべきだ」と発言した。
上院はまだ法案草案を発表しておらず、基本原則のみを示している。暗号資産業界が再びホワイトハウスで市場構造法案署名の瞬間に立ち会えるかは不透明だが、スコット上院議員は9月30日を期限に法案提出を進めていることをホワイトハウスに伝えている。
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